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こんにちは!武蔵小山どうぶつ病院の獣医師の平尾大樹です。

先日の①続きで、ワンちゃんの僧帽弁閉鎖不全症について説明させていただこうと思います。

僧帽弁閉鎖不全症には、アメリカの獣医内科学会によって定められたACVIM分類という4つのステージがあり、ステージA、ステージB、ステージC、ステージDに分かれています。

ステージA:僧帽弁閉鎖不全症になりやすい犬種の子(僧帽弁閉鎖不全はなし)

ステージB:僧帽弁閉鎖不全症になっているが、心不全ではない子

ステージBは更にB1B2という2つのステージ分かれます。

 ステージB1:僧帽弁閉鎖不全症だが、心拡大のない子

 ステージB2:僧帽弁閉鎖不全症だが、心拡大のある子

ステージC:急性心不全(肺水腫)を引き起こしたことがある子

ステージD:標準的な治療では心不全の治療がうまくいかない子

 

どのステージにその子が当てはまるかどうかは、症状や身体検査レントゲン検査心臓のエコー検査などで判断していきます。

ステージAはチワワさんやキャバリアさんなどの犬種が当てはまります。

ステージBに関して、心拡大(心臓の大きさが大きくなること)があるかないかという判断はガイドラインに沿って、レントゲンや心臓のエコー検査で心臓の大きさを測定する事で判断します。

ステージB2以上の子では、大きくなった心臓に気管が圧迫されることで咳が出る子もいますが、大半の子は特別症状もなく、元気である事が多いです。

さらに進行して急性心不全を引き起こしてしまうと、ステージCになります。

急性心不全によって、肺水腫を引き起こすと肺に水が溜まってしまい、溺れたような状態になるので、呼吸困難に陥ります。

肺水腫の症状は、元気がなくなり、運動や興奮していないような時でもハァハァと息づかいが荒くなってしまいます。

急性心不全による肺水腫は緊急状態なのですぐに治療を始める必要があります。入院して治療に臨む必要がある事も少なくありません。

状況によっては、命を落としてしまうこともあります。

そのような状態になる前にいち早く気づいて治療を始めるためにも、定期的なチェック、特に聴診が大事になってきます!

 

次回は、僧帽弁閉鎖不全症に対する内科的治療(お薬)について、また、近年、行われるようになってきた外科的治療(手術)について説明していきたいと思います!

 

目黒区、品川区の動物病院 武蔵小山どうぶつ病院

2021年9月5日更新

こんにちは!

武蔵小山どうぶつ病院の獣医師の平尾大樹です。

今日はワンちゃんの心臓病のお話をさせて頂こうと思います。

早速ですが、動物病院でワンちゃんに「心雑音がある」という風に言われたことはありませんか?

中高齢の小型犬で聴取される心雑音の大半(約8割以上)はこの僧帽弁閉鎖不全症によるものであると言われています。

人では弁膜症という風に言われたりもします。人も高齢の患者さんが多いですね。

どういった病気かという話を始める前に、まずは、僧帽弁というもののお話からさせて頂こうと思います。

心臓の左心房と左心室の間に僧帽弁という2枚の弁があります。心臓が収縮して(縮んで)左心室から大動脈を通して全身に血液を送る時に、この僧帽弁がぴっちりと閉じることで左心室から左心房に血液が逆流するのを防いでいます。生命の不思議というかすごく良くできた構造物だと思います・・・!

この僧帽弁が年齢と共にブヨブヨと厚くなっていってしまうことを僧帽弁の粘液腫様変性と言います。

僧帽弁がブヨブヨに厚く変化していってしまう事によって、上手く弁が閉じなくなってしまい、僧帽弁の閉鎖がうまくいかなくなる、すなわち、僧帽弁が閉鎖不全になってしまう事で、心臓が収縮した時に左心室から左心房に血液が逆流してしまう病気です。

 

この僧帽弁の変性の程度はそれぞれのワンちゃんによって様々ではありますが、小型犬では歳をとってくるにつれて少なからず起こってくることが多いです。

ただ、逆流を起こす、つまり僧帽弁閉鎖不全症まで進行するかどうかは個体差があります。

僧帽弁閉鎖不全症になったとしても、軽度の場合、症状が出ないことも多いですが、僧帽弁閉鎖不全症による心雑音は胸に聴診器を当てればわかるので、早期発見のために定期的に動物病院に連れて行ってあげて、聴診をしてもらう事は非常に重要です!

 

もしそこで「心雑音がある」と言われたら、詳しい心臓の検査をしてもらうことをお勧めします。

次回は、僧帽弁閉鎖不全症が進行していくとどうなるのか、必要な検査などについて説明していこうと思います!

 

 

品川区・目黒区の動物病院 武蔵小山どうぶつ病院

2021年6月4日更新

 

こんにちは、武蔵小山どうぶつ病院の獣医師、平尾大樹と申します!

初めましての方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、4月からこちらの病院で診察させて頂いております!

改めまして、よろしくお願いいたします。

 

早速ですが、今日は犬の熱中症について書かせていただこうと思います。

なんで真夏でもないこの時期に熱中症??

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

真夏のあつ〜い時期は皆さんちゃんと気をつけてくれていて、対策を取ってくれる方も少なくありません。

これはとても素晴らしいことだと思います。

ただ、この初夏の時期に油断してしまって、散歩中に熱中症になって病院にくる子は意外と多いんです!

 

ワンちゃん達は僕らと違って四足歩行です。地面との距離もすごく近いです。

小型犬の大きさを考えると、地面から10cm程度のところに四つ足で立っています。

そうなると、ワンちゃん達は気温の影響だけではなく、アスファルトの地熱(地面の熱)の影響もモロに受けること

になります。

太陽からの熱、気温、地熱、散歩による運動で体温は上がっていきます。

 

僕たちと違って、ワンちゃん達は汗をかいて効率的に熱を逃すことができません。

暑い時の体温調節は、舌を出してハァハァとする「パンティング」で基本的に行うことになります。

全身に汗をかいて、熱を身体の外に逃すことができるヒトと比べると些か効率が悪いので、結果として熱が身体に

こもりやすくなります。

どんなワンちゃんでも熱中症になる可能性はありますが、特に、短頭種や準短頭種(正式な呼び名ではないですが)

と言われる鼻の短いワンちゃん達は、元々気道が狭い子が多く、熱を身体の外に逃すのが苦手なワンちゃん達

なので、要注意です。

短頭種・・・フレンチブルドッグ、ボストンテリア、パグ、イングリッシュブルドッグなど

準短頭種・・・チワワ、キャバリア、ポメラニアンなど

 

一度熱がこもり、体温が高くなり始めると気道の腫れなど出てきて、余計に上手く身体から熱を逃すことが出来なく

なってしまい、高体温が進行していきます。

熱中症は一度始まると、家に帰ってからも病状が進行していく可能性があります。

家に帰ったからといって安心せず、家に帰ってからもずーっとパンティングを続けている、よだれが多い、歯ぐきな

どが真っ赤な状態が続いている、ぼーっとしている、落ち着かないなどの症状がある場合は早めの対処が必要です。

ひどい時にはぐったりして動かなくなり、治療が遅れれば、死んでしまうこともあります。

ですが、早く気づいてあげれば治してあげる事ができますし、気をつけていれば予防も出来る病気です!

熱中症にならないようにご家族の皆さんが気をつけてあげることが何よりも大切です!

 

気をつける点としては

・太陽が出ている暑い時間帯(10時から16時くらい)の散歩を避ける。

・日がでている時間帯に散歩をする時は、日かげを中心に散歩するようにする。

・長時間の激しい運動は避ける。

・興奮させすぎないようにする。

・首輪ではなくて、首が締まりにくいハーネス等にリードをつけてあげる。

・クールバンダナやネッククーラーを使ってあげる。

・長い間散歩を行うときは、定期的に水分補給させる。

・呼吸や様子がおかしい時(ずーっとハァハァしている、息を吸う時にガーガー、ブーブーと音がするようになった、ぐったりしている、よだれが多い、歯茎が真っ赤など)は病院に連れて行ってあげる。

 

応急処置としては、水をかけてあげる、扇いであげる、氷で冷やすなどの処置がありますが、冷やし過ぎは逆に悪化

させてしまったり、発症から時間が経てば経つほど状況が悪くなっていきますので、様子がおかしい時は早めの来院

をお願いします。

 

散歩中以外にも熱中症が起こりやすい状況があります。車内に放置された動物です。

短時間でも締め切った熱のこもるような空間に動物を放置することは絶対にしないでください。ほんの少しの間

でも、日なたに停められた車内はすぐに高温になります。

逃げない程度に少し窓を開けておくとか、エンジンを切らずに空調を効かせておくなどの対応をお願いします。

 

熱中症でワンちゃんたちが体調を崩してしまったり、亡くなってしまったりすることを防ぐためにも、ご家族の

皆さんがしっかりと注意してあげるようにしましょう!

 

 

目黒区 品川区の動物病院 武蔵小山どうぶつ病院

2021年5月14日更新

 

当院は本日で開院1周年を迎えました。

 

可愛い小さな(中には大きな)家族たち、コダイラ動物病院から引き続ききてくださる方、新しく来院された方、遠方から来てくださる方、そしてスタッフ、家族のような皆様に支えていただき、あっという間の1年でした。

 

この1年の間に、最新式動物用ICUの導入、新しい麻酔モニター・麻酔器、電気メス、生化学検査機器、血球計算器と病院内の設備もアップデートして参りました。

4月からは新しい勤務医の平尾先生と看護師2名を迎え、さらに質の高い医療とサービスを提供できるように努力して参ります!

 

1周年記念で病院オリジナルお散歩バッグをお配りしています!お弁当箱も入る便利サイズですので、わんちゃんだけでなくねこちゃんの飼い主さんもぜひ貰ってください!

2021年3月13日更新

重症の入院動物により適切な入院環境を提供できるよう、最新式のICU(集中管理室)を導入しました。

 

 

それぞれの部屋にエアコンが搭載されており、個別に温度設定や酸素濃度設定、湿度設定が行えます。

 

 

下の部屋の間の仕切りを外せば広い部屋になり、大型犬も入ることができます。

 

 

 

心臓病など高い酸素濃度が必要な子、低体温など温度管理が必要な子、手術後の管理などに、より安全で高度な環境が提供できるようになりました。

2020年6月14日更新